腸内細菌のはたらき
腸がすべて【3回目】の今日も、【腸の秘密について】引き続きお話しさせてください。
腸内細菌がいなかったら…
「もし腸の中に腸内細菌がいなかったら…」想像してみたことはありますか?
昔のわたしはそれでも問題ないような気がしていました。
「胃腸が勝手にもぞもぞ動いて、消化吸収してくれているんでしょ?」
そんなふうに思っていました。
でも、そうではなかったんです。
腸はぬか床
長年、腹診によって患者さんの腸の状態を診てきた私は、腸が、「あるもの」ととても似かよっているのに思い当たりました。
その「あるもの」とは「ぬか床」です。キュウリやナスをはじめ、様々な野菜を漬けて発酵させた「ぬか漬け」を作り、保存食として食べられるようにするのと同時に、独特のおいしさを引き出します。(中略…)
腸の中に住みつく腸内細菌たちも、この「ぬか床」の中にいる菌と同じように「発酵」を行っているのです。体の中に入ってきた食べ物の中でも、消化酵素では分解できない繊維物質やたんぱく質、糖質を分解して、体のためになるものに変えてくれるのです。
「驚異の腸内フローラ」ぶんか社 (田中保郎 著)から引用
あなたのおうちには「ぬか床」はありますか?
よく手入れされたぬか床は、一晩野菜を漬けておくだけで、本当においしいぬか漬けができあがります。
このおいしさを作ってくれているのは、ぬか床の中に住んでいる「菌」なんです。
つまり、よく手入れされたぬか床には、よい細菌が住んでいる。
そして、わたしたちの腸の中に住んでいる腸内細菌も、ぬか床の中の細菌と同じように発酵を行なっています。
大切なのは、この腸内細菌たちが、消化酵素では分解できないような繊維物質やたんぱく質、糖質を分解してくれているということなんです。
つまり、腸内細菌たちがいなかったら、消化吸収さえうまくいかなくなってしまうんです。
「腸内細菌が元気な、よく手入れされた腸を育むこと」
それがどんなに大切なことなのかがわかりますね。
腸内細菌はヒトと共に生きている
腸内細菌は、宿主であるヒトと共生関係にあり、食物から得る栄養素をエサに発酵することで増殖。また、さまざまな代謝物を生成することで、人体の機能に大きな影響を与えています。腸壁の粘膜にびっしり生息しているため、まるでお花畑(フローラ)のように見えることから、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれ、その総重量は約1.5kgにもなります。
「新しい腸の教科書」池田書店(医学博士江田クリニック院長 日本消化器病学会専門医 江田証 著)
はじめて腸内細菌の重量を聞いた時、わたしは驚きを隠せませんでした。
だって、1〜2kgもあるというんですから…。
腸内細菌がいなくなったら、体重が2kgも減るということになります。
たかが腸内細菌。されど腸内細菌…です。
「腸の中で腸内細菌が暮らしている。毎日わたしたちと一緒に生活している。」
そんなふうに考えると、腸内細菌がとても愛おしく感じられます。
そして、
「この腸内細菌がヒトのカラダの役に立つ代謝物を作り出している。」
「食べ物の消化吸収を手助けしている。」
というんですから、腸内細菌を腸の中で育てていくことの大切さを感じずにはいられません。
腸もみの効果
腸のお手入れ
「腸はぬか床」
そう考えると、
「腸にもお手入れが必要なのかなぁ?」
そんなふうに思います。
おいしく漬かるぬか床の基本の手入れは
- かき混ぜる
- 野菜(菌の餌になるもの)を漬ける
の2つでしょう。
まず、「野菜を漬ける」は、「腸内細菌が喜ぶものを食べる」ということになりますね。
では、「かき混ぜる」は、「腸もみ、腸マッサージ」なのでしょうか。
腸をもむことで、大腸や小腸にダイレクトにアプローチすることができます。
わたしの腸セラピーサロンにも、
「お腹が冷えすぎて不快なほど…」というお客様がいらっしゃいます。
そんなお客様も、腸マッサージの後はポカポカとし、
「カラダ全体が温まってきた!」とおっしゃってくださいます。
そんな時わたしは、
「腸内細菌たちも今ごろ腸の中でニコニコとご機嫌で働いてくれているんじゃないかな?」
と想像してしまいます。
もちろん、他にも
- リラックスタイムをつくる
- ストレスをためない
- お風呂でゆったりと温まる
- ウォーキングをする
- よく笑う
- 森林浴をする
- ワクワクする
など、他にも腸や腸内細菌が喜ぶことはたくさんありそうです。